由美ちゃん

【2】

その男の肌は異様に白かった。細く開いた自室の窓から男を見つけた時、俺はその真っ白な肌を欧米人のものと思い込んだ。整った面立ちはどちらかと言えば日本人のそれだったが、どこか日本人離れしたものを感じさせた。混血かと訝ったが、表情や物腰が日本人…

【1】

昔のことを思い出そうとすると真っ先に頭に浮かぶイメージがある。山に落ちかけた夕日。紅く燃える高い空。家路につく子どもたちの嬌声。どこからか漂ってくるうまそうな夕餉の香り。俺は自室のソファに腰掛け、平和で牧歌的な窓の風景を眺めながら日課のバ…

おわりのはじまりのおわり

俺は歳を取ってだんだん昔のことを覚えていられなくなった。幼かったあの頃、本当にケンちゃんはいつも鼻をたらしていただろうか。俺の目の前で浜野さんのスカートをめくり、返す刀でパンツをずり下ろした小さなヒーローは本当に木下君だっただろうか。今と…