バカ通夜2014

お葬式なんかの話題ってたぶんけっこうデリケートだよね。まあ書くけど。

つい先日、職場の先輩の母親の通夜に職場のバカの面々と参列してきたんだけどさ、俺も詳しく知らないけど通夜って身内とかごく親しい人たちの集まりなんじゃねえの?職員の親族の葬儀なんて職場の代表が告別式に参列すれば義理立て出来るもんなんじゃねえの?俺たちまでバカ面下げて出向く意味あんの?むしろ邪魔じゃねえの?って思いながらさ、もうずっとずっとそう思いながらさ、何が楽しみなんだかバカのボスが早く行こう早く行こうって急かすから仕事もそこそこにして事務所出てさ、電車で1時間もかけて寒村まで出掛けてってさ、駅降りてから斎場までけっこう歩かされたぜ? 着いたらけっこう、つか、かなり立派なお式でさ、なんだよあいつ、あいつって私服がクソダサい先輩の事だけどさ、なんだよあいつ金持ちかよって。じゃあまずアンドレジャイアントみたいな髪切っていい服買えよって。

バカが急かすから30分も前に到着しちゃってさ、俺たちみんな手持無沙汰だよ。見かねた係の人に案内されて早々と席についたら眼前には歴史的建造物みたいな荘厳な祭壇。そして隅から隅まで贅沢に敷き詰められた花々の真ん中にでっかい遺影がドーン!!ってあって、「えっ、誰?」って。そりゃそうだよ、職場の人の母親の顔なんか知ってるわけねえし、あ、でも職場のボスはもしかして面識があるのかもなーと思ってたら「ご焼香まで今しばらくお待ち下さい」って書いてある立て札を完全に無視して、ルカー!と叫んでドカドカ行っちゃってバカだから。もうバカだからすぐドカドカ行っちゃうからさ。

何するのかと思ったら祭壇のほど近くにある親族用の席をも通り過ぎて、俺みたいなど素人にも「あそこはお坊さんが座ってお経を読む場所ですね」とわかる場所まで行っちゃって、「つまりあそこにあるローソクやお線香はお坊さんが使うんだろうなあ〜」って想像がつくまさにそのお線香をそのローソクでおもむろに着火して、誰も足跡まだつけてない一足お先の砂の上にお線香ドーン!ぶっ刺して、「お坊さんがお経のビートを刻むためにあんな火鉢みたいなでかいおリンがあるんだね〜」と確信されるまさにそのおリンを豪快にゴーン!ゴーン!いって、カルロス・ゴーン!いって、なんかニフラムニフラムみたいな事をけっこうな声量で唱えてからお棺にすり寄ってってご尊顔の所の扉をパッカー!って、おまえは本当にすごいなって。だってまだお通夜は始まってもいないんだぜ?親族のみなさんもまだお線香あげてないし、顔だって見てないんじゃないかな。

それでやりきった顔してツヤッツヤになって席に帰って来て「先輩くんはお母さん似だね」って、やっぱり面識ねえのかよ!って。俺もうおもしろくって。ああ、来てよかったなって。香典出したくねえな〜って思ってたけど元とれたなって。この職場やめる時はこれ以上笑いをこらえるのに耐えられませんって辞表に書こうって思ってる。